札幌オリンピック、狂った歯車 経済界主導の「奇策」は実現するか

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古畑航希 日浦統
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 いまごろ、もしかしたら、札幌市民は歓喜の渦にわいていたかもしれない。

 昨年6月、札幌市は2030年冬季五輪パラリンピック招致に関する「想定スケジュール」をつくった。

 そこには、昨年12月の国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で「継続的な対話」から「狙いを定めた対話」へと移行するのに伴い、札幌が30年大会の開催地に内定するというスケジュールが記載されていた。

 そして、招致のゴールとして描かれたのが、今年の5月30日からインドのムンバイで開かれるIOC総会だ。

 五輪の開催都市は、東京大会のときとは違い、IOCが各立候補都市と水面下で交渉して選ばれる。市は「内定」が得られ次第、国の閣議了解を得るなどのプロセスを経て、今年5月のIOC総会で開催地に「決定」する青写真を描いていた。

 しかし、スケジュールは白紙になった。

 昨年8月以降、発覚した東京五輪汚職事件が元凶だ。「内定」するはずだった12月の理事会は何も決まらず、今年5月の総会も延期された。

「歓喜」ではなく「不信」の渦に

 いま市を取り巻くのは、不信の渦だ。

 29日に開かれた市議会のオ…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年6月2日18時0分 投稿
    【視点】

    私は札幌オリパラ招致のプロモーション委員なのですが、今は委員会がストップしているので、誤解を恐れずに意見を述べたいと思います。外野からではなく、理想論や厳しい意見も含め中から発言したいと思い、委員を引き受けました。以来、特に開催意義の前面に

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    潮智史
    (朝日新聞スポーツ部記者=サッカーなど)
    2023年6月2日19時56分 投稿
    【視点】

    スポーツの祭典である五輪・パラリンピックが、こんな風にとらえられていることは悲しいです。大会そのものの意義はどうでもよくて、便乗して経済効果ばかりと追うのは、まるで東京大会の汚職と同じように映ります。 東京大会の開催経費は大会組織委員

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札幌オリンピック招致

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札幌市は2030年の冬のオリンピック・パラリンピックの招致を目指しています。招致問題を多角的にお伝えします。[もっと見る]