半世紀続いた東京・青梅の青果市場で最後の競り 「これ以上損失は」
森治文
西多摩の「台所」を長年支えてきた青梅市の青梅青果地方卸売市場が30日、半世紀の歴史に幕を下ろした。スーパーの進出や後継者難で地元の小売店が減った上に、流通が多様化したことが背景にある。都内全体でも比較的規模が小さい市場の閉鎖が続いている。
最後の競り、小売店主ら約20人でこじんまりと
午前8時前、場内に集まった約20人の小売店主や仲買人らを前に、市場を経営する青梅青果の田中晴男社長(74)が「昭和48年の開設以来、どうもありがとうございました」と感謝の意を述べた後、最後の競りが始まった。
地元で収穫されたブロッコリー、小松菜をはじめ、キュウリやトマト、ジャガイモ、ハクサイ、スイカ、バナナなどが入った段ボールが整然と並ぶ。だが、置いてあるのは約1200平方メートルある卸売場のごく一部。「最終日のせいか農家の出荷も少なく、いつもの半分ぐらい」と田中さん。1時間足らずで取引が終わった。「私の代でこの日が来るのは覚悟していたが、やっぱり寂しいですね」とつぶやいた。
田中さんによると、市場は2…