番勝負の敗北が想像しにくい最年少名人 記録破られた谷川十七世名人
20歳10カ月。将棋で史上最年少の名人が誕生した。藤井聡太竜王が1日、渡辺明名人(39)に挑戦していた第81期名人戦七番勝負を4勝1敗で制し、名人位を獲得。谷川浩司十七世名人が1983年に21歳2カ月で達成した記録を40年ぶりに更新した。塗り替えられた谷川十七世名人が口にしたのは「光栄なこと」という言葉。最年少で名人に駆け上がる困難さや、藤井新名人の特別な読みの力、いつからを「藤井時代」と呼ぶのかについても語ってもらった。
藤井聡太さんに私の最年少名人の記録が破られるかもしれない――。1年ほど前は複雑な思いもありました。ただ、その後も藤井さんがタイトル戦で勝ち続けていく中、昨年末ごろから、これほどまで実力、実績、人気も抜群で、しかも、まだ二十歳なんですけれども将棋界を背負う存在になっている藤井さんになら、破られても光栄なことと思うようになりました。
最年少名人は、名人戦のシステム(C級2組→C級1組→B級2組→B級1組→A級と昇級を重ね、最上位のA級で優勝して名人挑戦権を勝ち取り、名人との七番勝負で先に4勝する)から、四段になって最短でも5年数カ月かかります。まず中学生で棋士になることが条件と言えますが、私の後で可能性があったのは羽生善治さん、渡辺明さん、藤井さんだけ。私の時よりも棋士の数は増え、競争も激しく厳しい。私の時は9勝1敗なら昇級できたものですが、最近は9勝1敗でも昇級できないケースも増えています。藤井さんといえども、なかなか大変だと思っていました。
私は小学3年生の時の文集で…
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