太極拳の本も…県議の政務調査費2312万円分返還を 岡山地裁判決
岡山県議に2009年度に支給された政務調査費(現・政務活動費)に違法な支出があったとして、市民オンブズマンおかやまが伊原木隆太知事を相手取り、故人を除く県議(元県議を含む)48人に総額約6460万円を返還請求するよう求めた訴訟の判決が31日、岡山地裁であった。上田賀代裁判長は、このうち34人が支出した計約2312万円を違法と判断。返還を求めるよう知事に命じた。
判決は、議員が行う活動には、政務調査活動のほか政党活動や選挙活動、後援会活動、私的活動があると指摘。政務調査活動とその他の活動が混在する活動にあてられた経費は、原則半額を限度に政務調査活動と合理的関連性があると認められるとした。その上で個別の支出について検討した結果、計約2312万円について返還対象と認定した。
返還対象の内訳は会派別(当時)で、自民33人のうち25人の約1986万円▽民主・県民クラブ7人のうち4人の約130万円▽公明4人のうち3人の約14万円▽共産3人のうち1人の約10万円▽無所属1人の約170万円。自民会派の2人は返還対象額が200万円を超えた。
返還対象とされた支出の中には、津山市のレジャー施設視察のための入館料3千円(大人2人分と小中学生1人分)を調査研究費として支出したものもあった。県議は「大人の男性1人の利用が不審に思われないよう家族を同伴した」と主張したが、必要性は認められないとして全額返還を求めた。別の県議が会議での弁当代や飲食代として支出した約1万3千円については、食事とは生理的欲求を満たす活動であって政務調査活動の有無とは関係ないとして、全額返還を求めた。
一方、判決で返還の必要はないとした県議は14人おり、うち現職は小倉弘行氏と蜂谷弘美氏、高原俊彦氏、森脇久紀氏の4人。
オンブズ代表の光成卓明弁護士は「判決は、ある程度厳しく認定している部分もあるが、物わかりが良すぎる点もある」と話し、控訴する意向という。
オンブズはこれまで、県議会の2009~16年度の政務調査費などの使い道を調べ、8件の訴訟を起こしている。10年度の政務調査費については岡山地裁が21年、35人分の計約2512万円について違法と判断し、返還を求めるよう知事に命じる判決を出しており、控訴審が広島高裁岡山支部で争われている。(上山崎雅泰、神崎卓征)
知事「対応を検討」
岡山地裁の判決を受け、伊原木隆太知事は「判決の内容を十分精査した上で、県の主張が認められなかった部分について、今後の対応を検討してまいりたい」とのコメントを発表した。
議長「一部認められず残念」
判決を受け、県議会の小倉弘行議長は議会を代表して、「主張が一部認められなかったことは、残念。判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とのコメントを出した。
判決が返還対象とした主な個別事例とその理由
・デジタルカメラ購入費 政務調査活動のみに使用したと認められる証拠がない(半額)
・県政報告紙の郵送、切手代 …
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- 【視点】
岡山県議に2009年度に支出された政務調査費(現・政務活動費)のうち、岡山地裁が返還すべきと命じたもの(計34人・約2,312万円)の事例に興味深いものがある。 ワンポイントだが、 ・天皇陛下御即位20年奉祝委員会設立総会へのETC代金
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