児童手当、24年度中に所得制限撤廃へ 「異次元の少子化対策」素案

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 岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」を盛り込んだ「こども未来戦略方針」案の全容が判明した。児童手当は所得制限の完全な撤廃を意味する「全員を本則給付」と明記。支給期間を高校卒業まで延ばし、第3子以降は0歳から増額する。2024年度中の支給開始を検討する。

 政府は、1日夕に開く予定の「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)で、戦略方針の素案を示す。素案には、来年度から3年間の集中期間に実施する3兆5千億円規模の「加速化プラン」の具体的な内容や実施時期も入れた。

 加速化プランでは、出産費用の保険適用は26年度をめどに導入検討▽就労要件を問わず、時間単位で利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設▽産後28日間を限度に育休給付金の手取り10割への引き上げ▽時短勤務による賃金低下を補う「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、25年度から実施――などと明記した。

 高等教育費の負担軽減策も手厚くする。授業料減免や給付型奨学金は、24年度から多子世帯や理工農系の学生のいる世帯の中間層(世帯年収約600万円)に拡大するとされているが、さらに「対象年収の拡大、年収区分ごとの支援割合の引き上げ」を検討するとした。

子ども予算の倍増「2030年代初頭までに」 財源あてなく

 授業料後払い制度(仮称)は…

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    山口慎太郎
    (東京大学大学院経済学研究科教授)
    2023年6月1日12時50分 投稿
    【解説】

    「こども誰でも通園制度(仮称)」など、必要性が高いと思われる子育て支援策が数多く取り入れられており、これらを迅速に実行に移すべきだ。一方で、出生率引き上げという観点からは効果が弱いとみられる児童手当に多くの予算が割かれていることが気がかりだ

    …続きを読む
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    中塚久美子
    (朝日新聞専門記者=子ども、貧困)
    2023年6月2日19時22分 投稿
    【視点】

    子育てする年代の世帯では、税金+社会保険料などと児童手当のような現金給付を比べると、平均的に前者の方、つまり引き去られる方が多い研究結果が出ています。  今回、「高校生年代まで所得制限なし」案は従来と比べ前進しました。しかし、どのように安

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