ウクライナ侵攻とナゴルノ・カラバフ問題の行方 勢力図は変わるか

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 旧ソ連のアゼルバイジャン領内にあり、アルメニアとの間で30年以上にわたって帰属を巡る争いが続くナゴルノ・カラバフ地域。アルメニアのパシニャン首相は5月22日、これまでの主張を一変させ、条件が整えばこの地域をアゼルバイジャン領と認めると発言しました。この問題をめぐっては、「旧ソ連の盟主」として振る舞うロシアと、米国や欧州連合(EU)が仲介役として動いています。長年の懸案は解決へと急展開するのでしょうか。慶応大総合政策学部広瀬陽子教授(国際政治)に聞きました。

――パシニャン氏の発言をどのように分析しますか。

 驚きでした。アルメニアではこれまでも、ナゴルノ・カラバフの問題でアゼルバイジャンに対して譲歩的な態度を見せると国民が大きく反発し、政治的不安が起きてきたという過去があります。また、アルメニアには今もまだ、占領地の大部分をアゼルバイジャンに奪還された2020年の「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争」における敗戦の傷が癒えないところがあります。そういう状況下で、ナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャン領として考えてもよいというのは、これまで誰ひとり発言してこなかったことです。むしろ、パシニャン首相の発言があっても、アルメニアで政治不安が起きていないことが不思議なほどです。

――今までにないアルメニア国内の反応の背景には何があるのでしょうか。

 推測ですが、孤立無援で戦っ…

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