「政治の警備への意識は希薄」 専門家が考える選挙警備のあり方とは
吉沢英将
和歌山市の選挙演説会場で4月、岸田文雄首相のそばに爆発物が投げ込まれた事件で、警察庁が当時の警護について課題と対策をまとめた報告書が1日に公表された。演説での安全確保には政治家・主催者の協力が不可欠だとして、警察が主催者側に安全対策の強化を働きかけていくことが盛り込まれた。
犯罪やテロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長は、今回の報告書について「選挙の安全を守ることも主催者である政治の役割だと示した」と話す。
選挙演説での警備への警察の過度な介入は、自由な選挙運動をゆがめかねないとして、「警察は極力抑制し、主催者側が主体となって警備すべきだ」と指摘する。
これまでの主催者側の警備への意識は「希薄だった。警察がやるべきことだと考えていたのだろう」と板橋さん。安倍晋三元首相や岸田首相が演説中に襲われた事件で、自作した銃器や爆発物が使われたとみられることを念頭に、「今は誰もがインターネットを参考に銃器や爆発物をつくれる時代。リスクを考慮しない選挙活動は聴衆や支持者の命も危険にさらすと認識してほしい」と訴える。
警察と主催者、それぞれの役割
板橋さんは、警察の主な役割…