容疑者の侵入、誰も気付かず 爆発まで50秒、避難できず 首相襲撃

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編集委員・吉田伸八 吉沢英将
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 岸田文雄首相襲撃事件で警察庁がまとめた警護に関する報告書では、事件当時の現場の詳しい状況も明らかになった。木村隆二容疑者(24)の侵入に誰も気を留めず、爆発物が投げられてから爆発までの約50秒間で全員の避難はできなかった。

 岸田首相が現場に到着したのは4月15日午前11時17分ごろ。木村容疑者が現場に着いたのは、その直後の同18分ごろだった。木村容疑者は、手前の事務所付近で待機し、その後に聴衆エリアの出入り口に接近した。

 11時20分ごろ、事務所付近にいた参加者3人がエリアに入場したのに続き、木村容疑者は出入り口にさらに接近。エリアから1人が出た後、エリア内に侵入した。出入り口近くには、来場者が漁協関係者かどうかを顔を見て確認する役を担う3、4人と、警護員がいたが、木村容疑者の存在を認識していなかったという。

爆発物、カバンで払って1.8メートル移動

 11時27分ごろ、聴衆の中にいた木村容疑者は手元に数秒間視線を落とし、その2、3秒後に爆発物を放り投げた。約1秒間空中を飛び、約10メートル先にいた首相のそばに落下。首相から約1・4メートルの位置にいた身辺警護員は、煙や火花から瞬時に発火性の物体と判断し、防護用のカバンと足で爆発物を払いのけた。容疑者が投げてから約2秒後のことで、爆発物は約1・8メートル移動したという。

 警護員は首相を取り込み、約19メートル先の岸壁近くへ退避させた。さらに移動し、爆発物がある地点から約42メートル先につけられた車に到着した。投げられてから約50秒後に爆発が起きた時、首相は車に右足を乗り入れようとしているところだった。

木村容疑者に誰も声をかけず

 木村容疑者は当時、リュック…

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