1日から外相会議が始まったブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)では、基軸通貨の米ドルへの依存から脱却し、共通通貨の創設を求める声も上がっている。「非米欧」の対抗軸として存在感を高めるBRICSだが、共通通貨構想をめぐる各国の思惑には温度差があり、実現へのハードルは高そうだ。
共通通貨構想を積極的に支持しているのはブラジルだ。貿易などでの米ドルの覇権に異を唱えるルラ大統領は4月に中国を訪問した際に、「なぜBRICSには、自らの共通通貨がないのか。なぜ世界が、必ず米ドルで取引しなければならないのか」と訴えた。中国はブラジルにとって最大の貿易相手国で、中国メディアによると、両国間の貿易で人民元決済を始めるとしている。
他国の危機が自国のリスクに
ただ、中国側の立場は微妙だ。ルラ氏は習近平(シーチンピン)国家主席との会談でも構想を伝えた模様だが、中国メディアは提案についての習氏の態度や政府の反応を報じていない。
国内総生産(GDP)世界第2位の中国は、経済力がBRICSの中で突出している。仮に共通通貨をつくれば、他国は中国経済の信用力の恩恵を受けられる可能性がある。だが、中国にとっては他国の経済危機が自国に波及するリスクも生まれる。
中国は国内資本の越境移動を…
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- 【視点】
これまで米ドルは基軸通貨として圧倒的な地位を保ってきました。ドル以外の通貨を用意するためには多額のコストがかかるため、貿易決済はドルで行うことが当たり前となっています。「貿易はドル」というこれまでの常識は、世界経済が単一であることが大前提だ
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