リサイクル業者の請求を棄却 キヤノンのインクカートリッジ巡る訴訟
松浦祥子
プリンター用インクカートリッジの仕様変更でリサイクル品販売を妨げられたとして、大阪市のリサイクル品製造販売会社「エコリカ」が、大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(谷村武則裁判長)は2日、エコリカの請求を棄却した。
判決によると、キヤノンは2017年から販売するプリンターで、インク残量を記録するICチップの仕様を変更した。そのため、使用済みのカートリッジにインクを再注入するエコリカのリサイクル品では、プリンターにセットしても残量が表示されなくなった。
エコリカ側は、キヤノンの行為は消費者に純正品の購入を強いるものだとし、独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」などにあたると主張した。しかし判決は、インク残量の確認はプリンターの表示以外でも可能だと指摘し、「仕様の変更が不当とまではいえない」と結論づけた。
エコリカの宗広宗三社長は判決後の記者会見で「非常に納得できない判決で控訴を検討する」と述べた。キヤノンの広報は「主張が受け入れられて良かったと考えている」とコメントした。(松浦祥子)