日本最古の刺繡を再現した衣 京都の作家が奈良・中宮寺に奉納
聖徳太子の死を悼んで妃(きさき)の橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が死後の仏の世界を描かせた日本最古の刺繡(ししゅう)「天寿国(てんじゅこく)繍帳(しゅうちょう)」(国宝)。制作からおよそ1400年になるのを記念し、その文様の一部を再現した布が1日、繍帳が伝わる奈良県斑鳩町法隆寺北1丁目の中宮寺(ちゅうぐうじ)に奉納された。9月30日まで、本堂で一般公開される。
奉納された衣は「天寿国文様刺繡被衣(かつぎ)」(丈約90センチ)。京都に伝わる日本刺繍の伝統技法「京繍(きょうぬい)」の作家、長艸(ながくさ)敏明さん(74)が、奈良国立博物館の三田覚之(かくゆき)・主任研究員(41)=日本・東洋美術史=の監修のもと、制作した。「被衣」は女性が頭からかぶる布のことで、今回、繡帳にもある鳳凰(ほうおう)や天女、甲羅に漢字を記した亀、月の中でもちをつくウサギ、飛雲などの文様をあしらっている。
長艸さんは2004年、断片しか残っていない繡帳の復元研究会をつくり、草木染を繰り返したり、同じ針目による刺繡を施したりするなど、技法再現に尽力してきた。今回、20年近い歳月の研究の末、染織家や織物作家ら5人とともに半年がかりで制作した。三田さんは「可能な限り忠実に再現されている。日本の刺繡の源流が令和の時代によみがえり、長艸さんによって開かれた新たな美の世界」という。
寺は尼寺であることから、本…
- 【視点】
しかし、何とも素晴らしくモダンなデザインだこと。第二次世界大戦後、日本に駐留した米兵のお土産は横須賀辺りで作られていた派手な日本地図や富士山、鷹や龍などの派手な刺繍を施したジャンパー(通称スカジャン)だったりもしたが、この意匠は海外の人々に
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