カマキリとスズメバチが対決、勝ったのは? 動物学者も息のむドラマ
動物行動学者として北海道やモンゴルなど各地に調査研究に出かけてきた元東京農業大教授の苗川博史さん(73)の日常は、コロナ禍で一変した。研究室にもフィールドワークにも行けず、苦肉の策で始めたのは神奈川県茅ケ崎市の自宅周辺の動植物を毎日カメラで記録することだった。
気がつけば身近な自然のドラマに魅了されて夢中でシャッターを切り続けた。「茅ケ崎・赤羽根『今日の生き物記録』」と題してホームページで毎朝、紹介している。記録は今春、1千日を超えた。
「ありふれた日常に見落としてきたことがこんなにあったのかと驚く。この年になっても自然に教えられてばかり」。こう目を輝かせている。
飼育日誌つけた少年のころ
東京都世田谷区の多摩川沿いに生まれた。中学生になるとハトやニワトリなどを飼い、飼育日誌をつけるような少年だった。
大学で専攻したヒツジやヤギの鳴き声と放牧行動管理をライフワークとし、高校の生物教諭を経て大学に転じた。
約30年前、住宅の近くに里山や水田が豊かに残る茅ケ崎市北部の赤羽根地区が気に入って、横浜から引っ越してきた。
引っ越し当初はキジの鳴き声が聞こえ、つがいを観察して論文を書いたこともあった。しかしその後は忙しい日々のなか、立ち止まる機会を失っていた。
コロナ禍で自宅の周りを「調…
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