東電、原発賠償の請求書1千通を誤送付 住所変更を反映せず別人へ
伊沢健司
東京電力ホールディングスは1日、福島第一原発事故で避難した人らが追加で賠償を請求するための書類約1千通を別人の住所に誤って送ったと発表した。住所変更の連絡を受けていたが、反映していなかった。請求書には、氏名、生年月日、振込口座番号などが記されており、約200通は回収できていない。
東電は電話やホームページなどで請求書の郵送と住所変更を受け付け、5月18日と23日に約2万2千通を送った。このうち1千通は住所変更の入力をしないまま、変更前の住所に送ったという。4月以降に送った別の1500通についても誤りがないか確認している。29日に福島県浪江町役場に「自分宛てではない請求書が届いた」との届け出があり、発覚した。
誤送付のうち約800通は宛先不明で戻ってきた。残りは戸別訪問などで回収するという。東電は「深くおわび申し上げます。誤った請求書が届いた方は、開封はせず、連絡してほしい」とのコメントを発表した。
賠償は、避難者らが起こした集団訴訟の多くで国の指針を超える額を認める判決が出たことを受け、国の審査会が昨年12月に指針を見直した。福島県と宮城県の約148万人に総額3854億円が追加されることになった。(伊沢健司)