政府が今後の経済財政運営の指針とする「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の素案が分かった。コロナ禍からの経済の回復や世界的なインフレ(物価高)を「時代の転換点」と位置付け、大胆な構造改革でデフレ脱却を図ることを強く意識した内容だ。
素案では、「長らく続いたデフレマインドを払拭(ふっしょく)し、期待成長率を高めることで、デフレ脱却につなげる」とした。構造的な賃上げやスタートアップ(起業)の推進で脱炭素やデジタル産業への転換、経済や食料の安全保障などを進めるとした。
最低賃金について、今年度に全国加重平均が1千円を超えることも視野に、労使などでつくる「最低賃金審議会」で議論するとともに、都道府県間の格差是正を進める方針も盛り込んだ。
コロナ禍で膨らんだ財政支出の正常化も提起した。コロナ予算で積み上がった基金について、効率的な支出の徹底を求めるほか、「財政政策は主として潜在成長率の引き上げと社会課題の解決に重点を置く」として、拡大する補正予算などの是正に取り組む。
財政健全化をめぐっては、「中期的な経済財政の枠組みの策定に向けて、経済・財政一体改革の進捗(しんちょく)について2024年度に点検・検証を実施する」とした。政府がめざす、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の25年度の黒字化の達成が難しいとの見方もある中で、新たな財政目標を検討するねらいもある。
一方、「多年度にわたる投資…