宮崎のサンショウウオ、新種と判明 元中学校長ら解明、絶滅おそれも

森田博志
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 宮崎市南部の限られた地域に生息するサンショウウオが、固有の新種であることがわかった。大分県を中心に分布するオオイタサンショウウオと思われてきたが、中学校の元校長らの研究グループが解明し、新たにミヤザキサンショウウオと名付けた。

 研究グループは、宮崎県日南市の市立吾田中学校長だった末吉豊文さん(61)と、大分大、高知大の研究者。3人が新種と判断した論文が今年3月、神奈川・横須賀市博物館発行の研究報告に掲載された。

 末吉さんによると、県内にオオイタサンショウウオが生息することは1978年ごろには知られていた。ただ、オオイタの生息域は九州東岸と四国の一部に点在。県内は県北の山間部や宮崎市と、全長10~16センチの両生類が移動するには範囲が広すぎるのではなどと疑問の声もあった。

 中学校の理科の教師から98年に県総合博物館の学芸員となった末吉さんは、もともと鳥が専門だったが、両生爬虫(はちゅう)類を研究することに。博物館を離れた後もサンショウウオなどの調査を続け、2012年ごろに高知大の研究者から新種記載への協力依頼があり、共同研究が始まった。

 18年にはこの高知大の研究者らが、オオイタと思われていた高知県土佐清水市のサンショウウオを新種と裏付け、トサシミズサンショウウオと命名。宮崎市に生息するものも遺伝子解析と詳細な形態分析を進め、オオイタとは別種と確認された。ともに背中に黒い斑点があり見分けは難しいが、ミヤザキはオオイタより、体長(頭から尾の付け根まで)と比べて四肢が長い傾向にあるという。

 新種は、産卵期は水中に入るが、ほとんどを森や林の落ち葉、倒木の下で暮らす。探すのは困難で、絶滅の恐れもあるという。

 4月から宮崎市生目の杜遊古館学習指導員になった末吉さんは「脊椎(せきつい)動物で固有種が見つかることは、めったにない。豊かな自然が宮崎に残っている証し。誇りに思い、そういう自然を大切にしてほしい」と話している。

 研究グループは、末吉さんが採取したミヤザキサンショウウオを、新種の発表時の基準となる貴重な標本「ホロタイプ」として県総合博物館に寄贈。標本は開催中のSSP展(11日まで)で展示されている。(森田博志)

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