「東電が再稼働担えるか」 柏崎刈羽原発めぐり市長、異例の懸念表明
東京電力が早期の再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)について、同県柏崎市の桜井雅浩市長は1日の定例記者会見で、「本当に東京電力という会社が再稼働を担うことができる会社なのかどうか、他の会社があるのかどうか、ということの自問自答を始めた」と語った。課題を積み残したまま新たな問題の発生が繰り返される事態に、信頼関係が揺らぎ始めていることを自ら認めた形だ。
再稼働に必要な「地元同意」の当事者である桜井市長はこれまで、東電を厳しく批判することはあっても、東電による事業継続を前提に再発防止を求める姿勢を基本としていた。事業主体としての適格性への疑問を明確にした発言は異例で、「今までは『東京電力による原子力発電所の再稼働の意義はある』と言っていた。今も、柏崎にとっても日本にとっても原発再稼働の意義はあると思うが、『東京電力による』という枕ことばの部分が、さてどうか、と思い始めたところだ」とも述べた。
発言の背景には、東電の組織としてのあり方に深い失望感を抱いたことがあると見られる。社員が他人のIDカードを不正に使用した問題など一連のテロ対策不備を受け、東電は2年以上再発防止に取り組んでいるが、原子力規制委員会の追加検査は5月に継続が決まり、再稼働の時期は依然見通せない。そんな中で、社員が上司の許可を得ずに内部資料を持ち出して紛失する問題が新たに明らかになっていた。
会見では、東電に代わる事業主体についての考えも問われ、桜井市長は「今の段階では具体的なところまで至っていない」と答えた。そのうえで、「それを決めるのは国。原発再稼働が電力料金の抑制につながるのは間違いない事実だ。再稼働が重要であって東京電力は大事でないという決断をするなら、おのずと事業主体を考えなければならないだろう」と話した。
発言を受けた各社の取材に対…
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