「人間の弱いところ」描く上方の権太を 片岡仁左衛門、6月歌舞伎座

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増田愛子
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 「やんちゃ」とか「悪童」といった意味で、今も関西で使われる言葉「ごんた」。語源になったのは、文楽や歌舞伎の人気作「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」に登場する、「いがみの権太」だという。6月の歌舞伎座で、その権太を演じる、片岡仁左衛門。「悪いやつだけれども、『悪ガキ』という感じで可愛いところがある。どこか憎めない」と語る。

 物語は、源平の戦いのその後を描く。

 権太の父、吉野山のふもとで鮨屋(すしや)を営む弥左衛門は、恩人の息子、平維盛(たいらのこれもり)を源氏方からかくまってきた。しかし、とうとう頼朝の知る所に。首を討って差し出すよう、頼朝の家来、梶原景時に求められる。悪行のせいで勘当されている権太は、ひそかに一計を案じ、父親、そして維盛の危機を救おうとする。

 権太を演じる上で大切にしているのは、「家族愛」という。「色々と言っていますが、権太はやはり、おやじさんのことは好きなんですよね。同じように、自分の子どもも、可愛くて仕方がない。やはり家庭の温かみを、お客様に訴えたい」。省略されがちな「木の実」と呼ばれる前半の場を必ず上演するのは、妻と息子とのほほえましいやりとりが、あるからだ。

「歌舞伎座六月大歌舞伎」は3~25日、東京・歌舞伎座。12、19日休演。「義経千本桜」は夜の部に上演。チケットホン松竹(0570・000・489)。

 粋な小悪党のように演じる江…

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