ドイツ「世界演劇祭」 初の非西欧圏出身として率いる、相馬千秋さん
3年に1度、ドイツで開かれる「世界演劇祭」が今月末、開幕する。世界の先端的な表現が集う祭典を率いるのは、プログラムディレクターの相馬千秋さん。40年を超す歴史で初めて公募により選ばれた。非西欧圏の出身者が率いるのも初という。
2000年代前半から「東京国際芸術祭」や、その後身の「フェスティバル/トーキョー」、「あいちトリエンナーレ2019」など、日本国内の国際芸術祭で、舞台作品の企画や選定に関わってきた。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの先端技術と演劇を融合させた作品も、数多くプロデュースしている。
「『内』と『外』が混ざり合って、化学反応が生まれるのが国際芸術祭。そういう意味では、特別に新しいことをやっているつもりはないんです」。実際、今回が欧州初演の小泉明郎や、映画監督のアピチャッポン・ウィーラセタクンのVRを用いた作品は、過去に関わった日本の芸術祭で、自らプロデュースしたものだ。
一方で、ヨーロッパという地域の特性には向き合う必要があるという。「ヨーロッパを中心とした視座から他者を『発見』し、それを取り入れて自らの社会を強化する。19世紀半ばに始まる万国博覧会の時代から続くフェスティバルの構造が、ベースにあります」。「周辺」に属する人間として「その視座こそを疑ってほしいと思います」。
記事後半では、コロナ禍の体験から生まれたという、演劇祭のコンセプト「孵化主義」についての話も。
ドイツでは昨年、現代美術の…
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