京都・祇園祭の長刀鉾、「稚児」が決定 山鉾巡行で刀を使って大役
日本三大祭りの一つに数えられ、7月に行われる京都の祇園(ぎおん)祭で、前祭(さきまつり、7月17日)の山鉾(やまほこ)巡行で先頭を行く長刀鉾に乗る「稚児(ちご)」と、補佐役の「禿(かむろ)」が決まった。長刀鉾保存会(京都市下京区、井上俊郎代表理事)が2日、発表した。
稚児は同志社小6年の瀧光翔(たきひかる)君(11)、禿はノートルダム学院小6年の高田聡佑君(11)と同志社小5年の石角(いしずみ)拓也君(10)がそれぞれ務める。瀧君は、前祭で巡行する菊水鉾の囃子方(はやしかた)で、昨年は鉦(かね)をたたいた。ヒップホップダンスが得意で、将来はユーチューバーを目指しているという。
前祭と後祭で34基ある山鉾のうち、人形ではなく子どもの稚児が乗るのは長刀鉾だけで、巡行では刀を使った「しめ縄切り」の大役も担う。瀧君は「みなさんに素晴らしいと思ってもらえる稚児舞を披露したい」と話した。
3人は永観堂幼稚園(同市左京区)に通っていたころからの知り合い。瀧君の父親で、広告物制作会社太洋堂(同市右京区)で取締役を務める朋広さん(53)は「とにかく驚いた。息子が稚児になることに感動しています」と述べた。(西田健作)
◆キーワード〈長刀鉾〉 鉾の名前は、鉾頭(ほがしら)に大長刀を付けているため。もとは平安時代の刀工・三条小鍛冶(こかじ)宗近作で、今は16世紀の三条長吉作の長刀を保存し、複製品を付けている。古来、順番が慣例で決まっている「くじ取らず」で、前祭(7月17日)の山鉾巡行の先頭を務める。人形ではなく少年が生稚児(いきちご)として乗るのはこの鉾だけ。稚児が刀を振り下ろす「しめ縄切り」は、祇園祭の見どころの一つだ。