「電事連」会長、異例続投の理由 電気料金値上げの代償
経済インサイド
3月17日、東京・大手町の電気事業連合会。大手電力10社の社長が一堂に会する社長会が開かれた。
月1回開かれる会合で、この日議題になったのは次期会長人事だった。2月の社長会で、池辺和弘会長は後任の立候補を受け付けると伝えていた。この日は締め切り日だった。
しかし、誰も手を挙げなかった。「今、大変な時期だ。これまでの経験を生かしたらどうですか」。ある出席者がこう促し、池辺氏の続投が決まった。
通称「電事連」。1952年、「電力会社相互間の連絡を緊密にして、電気事業の健全な発展を期する」ことを目的に生まれた任意団体だ。戦時の国策会社「日本発送電」の解体に伴い、沖縄を除く全国9電力会社誕生の翌年に発足した。
66年には「財界総本山」の経団連会館に事務所を移転。当初50人だった体制は、今では原子力部やワシントン事務所など約200人まで膨らんだ。各社から出向した精鋭が永田町・霞が関から原発立地自治体といった各所で広報やロビー活動などにいそしむ。
トップの会長は、半世紀にわたり東京、関西、中部の事業規模が大きい3社で回してきた。
一方、池辺氏は九州電力社長。2020年3月、中部電力の勝野哲社長(当時)の後任として、初めて3社以外から就任した。
勝野氏は、前任の関電社長が金品受領問題で辞任したため再登板した経緯があり、当初から短期で退任する方向だった。東電は福島第一原発事故後、事実上国有化されており、消去法でお鉢が回ってきたのが池辺氏だった。言わば「つなぎ役」のはずだった。
だが、事態は急転する。
大手電力によるカルテル疑惑…
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- 【視点】
右手でかたく握りあい、左手で軽くジャブを打ち合う。電力業界はそんな構図に見えます。右手は原子力発電を巡る課題への対応、左手は電力小売りの競争です。 右手の結束の場が電事連でした。原子力広報、核燃料サイクル、使用済み燃料の最終処分場など、
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