東京都内で開かれていた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展は、入場券が入手困難になるなど、ファッション関連の展覧会としては異例の人気を博した。超ドラマチックな展示空間は華麗な服をさらに引き立て、会場で撮影された「映え」写真はSNSで次々と広がった。いま、けたはずれのファンタジーが切望されているようだ。
この展覧会はブランドの創業70周年を記念して、2017年にパリの装飾美術館で初開催された後、ロンドンや上海などを巡回し、昨年12月から今年5月まで東京で開かれた。なかでも日本展の人気ぶりにはブランド側も驚いていた。美術館によると、会期末には当日券が開館前の早朝からなくなったほどだったという。
5月中旬の平日、会場の東京都現代美術館を訪ねると、大勢の人でにぎわい、「あー、美しかった」「うわさに聞いてはいたが想像以上に素晴らしかった」「何回でも見に来たい」など、称賛の声があちこちから聞こえた。筆者は最初のパリ展を取材したが、もっと学術的な印象だった。キュレーターは当時、「モードが文明史にとって、とても大切なテーマであることを伝えたい」と語っていた。
その後、開催地ごとに独自の…
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- 【視点】
吹き抜けの、ひな祭りの段のように夜会服が並ぶ壮麗な展示が忘れられません。ドレスが並んでいる上に、宇宙の星のようなプロジェクションマッピングが投影されて、その演出や距離感もあって、ますます手が届かない雲の上の存在に見えました。日頃夜会服を着る
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