「ChatGPT(チャットGPT)」の登場でイメージが一変したAIの世界。でもAIに詳しい人たちによると、技術レベルでは数年前から大きな変化はないと言います。それがなぜ世界規模でAIへの議論を引き起こすまでに至ったのでしょうか。月間で約50万人の利用者がいるという、日本語文章生成AI「AIのべりすと」を開発したゲームクリエーターのSta(すた)さん(34)に話を聞きました。
――チャットGPTはこれまでのAIとは何が違うのでしょうか。
「チャットGPTの原型になっている『GPT3』は2020年からありましたが、エンジニア向けの仕様で使える人が極めて少なかったため世間的には全く注目されませんでした。ロジック的な面ではチャットGPTもGPT3も大きくは変わりません。ただ、回答として出してくる文面が大きく変わったのです」
「こちらがあやふやな問いかけをしても、機械的に『分からない』と答えることがない。文面も人間くさい自然な構文になっている。箇条書きで複数の答えを出してきたり、キャラクターの名前を入れたらキャラの口調を返してきたりと、とにかく取っつきやすくなりました」
――文面が変わっただけでそんなに変わるものですか。
「これまでのAI開発ではスペック面が大事で、矛盾なく答えを出すロジックパズルを解けることや常識問題にどれだけ多く解答できるかなどが評価されました。AIそれぞれに癖があり、それを知った上で操作しないとなかなか思った通りの解答を得られないことも多かったです。筆記試験対策のような感じですね」
「対して、チャットGPTをつくったオープンAIは、機械的な尺度では評価しにくい、人間にとっての気持ちよさを大事にする傾向が以前からありました。寡黙なガリ勉だったのが、中身は変わらなくともコミュ力を身につけたことで一気に人気者になったという感じがします。ただ、この人気ぶりはオープンAIが一番驚いていると思います」
――なぜでしょうか。
「一般消費者向けのAIなん…
- 【視点】
「そうだよなー、そうだよなー」と思いながら最後まで一気に読了。すばらしい分析と洞察に満ちた解説だと思った。GPT3に比べて言語理解に関する技術的レベルアップはほとんどなかったにもかかわらず、人とのインタフェイスが対話型に変わったことで爆発的
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