錦鯉が屯田兵からの白バイ隊員に 北海道の守り人たどる 札幌・琴似

佐々木洋輔
【動画】HTB「錦鯉が行く!のりのり散歩」琴似編の見どころを語る錦鯉=佐々木洋輔撮影
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 6月に放送する「錦鯉が行く! のりのり散歩」は、札幌市西区の琴似エリアを訪れた。

 琴似は、市中心部から西に約5キロ、JR札幌駅から小樽方面に二つ目にある。JR琴似駅から地下鉄琴似駅を抜ける大通り一帯は、「琴似本通」と呼ばれる。飲食店のほかに、文化交流施設や区役所が集まるにぎやかなエリアだ。近年は再開発が進む。

 今回のロケで、錦鯉は琴似にちなんだ二つの衣装を着た。特に渡辺隆さんは、その二つのコスプレが似合い、「本物が飛び出てきた」と笑わせた。

 その衣装とは?

 ヒントは昔、北海道を守っていた人たちと、いま北海道を守っている人たちだ。

 琴似は北海道開拓の歴史の始まりの地ともいえる。1875(明治8)年、北海道の開拓と防備を担った最初の屯田兵が入植した場所だからだ。

 そんな歴史情緒がある琴似を、桜咲く4月下旬に訪れた錦鯉。まずは琴似神社を参拝した。

 琴似神社によると、神社は屯田兵が建立した。本殿は北西を向いている。北西はロシアの方角。当時、外敵としておそれられていたロシアから鎮守する意味が込められているという。

 一行はその後、地下鉄琴似駅近くにある琴似屯田兵村兵屋跡へ。復元された屯田兵が暮らした木造1階建ての家屋で、琴似屯田子孫会の永峰貴さん(80)から、当時の屯田兵の暮らしぶりを聞いた。

 永峰さんは、会津(福島県)出身の祖父が17歳で琴似に入植した屯田兵の3代目。元教師で退職後は、地域の児童らに屯田兵史の語り部を担っている。

 永峰さんによると、琴似の屯田兵は、会津のように戊辰戦争で敗れた東北諸藩から集められた。明治新政府は、旧幕府側の失業した士族を屯田兵にし、土地と家屋を与えて原野を開拓させ、同時に北方警備を担わせたのだという。

 琴似は屯田兵を置く場所として絶好の土地だった。

 まず、開拓使札幌本庁(現在の道庁)にほど近い。本庁に万が一の事態があれば、すぐに駆けつけられる。

 一帯は扇状地で農地に適していた。いざ戦争となれば、小樽港まで出やすかった。「実際に祖父が19歳で出征した西南戦争では、1泊で小樽港まで着いた」と永峰さんは説明する。

 そんな歴史話を聞きながら、錦鯉の2人は屯田兵に変身。そう、当時の屯田兵の衣装を着たのだ。

 渡辺さんは、まるでタイムスリップしてきたかのような風貌(ふうぼう)。「早く開拓してえ」とぼけて笑わせた。一方、隊長の衣装を着た長谷川さんは「散らばれ~」「逃げろ~」などと叫び、渡辺さんに「ダメ隊長だ」と突っ込まれていた。

 続いて向かったのは北海道警琴似庁舎。ここには、道内の交通の安全を守る交通機動隊が置かれる。

 敷地内に1300ccの白バイが20台ほどずらりと並ぶ様は圧巻。その大きな白バイを自在に操る隊員の訓練を見学した。

 加速したり、減速したり。キビキビと動き回る白バイ。「かっこいいなあ」と少年の目で見つめていた錦鯉の2人は、なぜか白バイ隊員の制服姿だ。

 二つ目のコスプレは白バイ隊員だった。

 「北海道の安全は俺が守る」と長谷川さん。「これを着たら、もう悪いことはできません」との渡辺さんのツッコミ。撮影終了後、長谷川さんが番組宣伝ステッカーを「これ、白バイに貼ってください」と配ると、厳しい表情で訓練していた白バイ隊員たちが爆笑していた。(佐々木洋輔)

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