30年近くスポーツ記者をしていると、トップアスリートが新星のように現れる瞬間から、終止符を打つまでを見届けられる幸せを味わえる。
5月に引退を発表した卓球の石川佳純(30)との出会いは2007年。2月の大会で感じた「異変」が印象深い。
それまでは、「愛ちゃん」こと福原愛にメディアの興味が一極集中することが常態化していたが、この大会は観客の視線、テレビカメラが狙う被写体に変化が感じ取れた。
直前の全日本選手権女子シングルスで、史上最年少の13歳でベスト4入りした石川への注目度が急上昇していた。
福原と石川が隣り合ってプレーした準決勝では、テレビ局の多くがカメラを2台用意し、ふた手に分かれた。
次第に、石川に取材が殺到し…