締め切り間際の届け出で、トップ当選 新顔町議がこだわった選挙戦

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阿部浩明
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 「立候補するな」

 そんな声を振り切るように、携帯電話の電源を切った。何度も自問し、ためらいつつも意を決する。選挙管理委員会に飛び込んだのは、届け出の締め切りぎりぎりの時間だった。

 4月の統一地方選で行われた北海道今金町議選。立候補予定者説明会も届け出書類の事前審査も、出席したのは定数と同じ12陣営だけだった。無投票が確実視されていた。

 ところが、告示当日になって一転する。無所属新顔の矢内義則さん(70)が、13人目の候補者として立候補したのだ。

 午後2時、町選管に赴き立候補の意思を告げた。提出書類の説明を受け、「供託金が必要です」と言われた。2020年の公職選挙法改正により、町村議選でも立候補するには15万円を供託しなければならない。

 すぐに、八雲町にある法務局へ向かった。車で片道約50分。運転中、何度も携帯に電話がかかってきた。路肩に車を止めて出ると、「やめたほうがいい」「考え直したらどうだ」。矢内さんの動きを察知した人たちからだった。「雑音」を断ち切るため、途中から電源を切った。

届け出受理は、締め切り15分後

 法務局で手続きを終えて銀行…

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