NHK会長「あってはならぬ事態」 未認可配信予算問題の議事録公開

有料記事

滝沢文那 野城千穂
[PR]

 NHKがネット業務の実施基準で認められていない衛星放送(BS)番組のネット配信に関する整備費を支出しようとしていた問題で、NHKは2日、関係する理事会の議事録を公開した。稲葉延雄会長が「あってはならない状況」などと重く受けとめている発言が記録されていた。NHK経営委員会も同日に議事録を公開。稲葉会長と森下俊三・経営委員長が、再発防止策作りをどちらが主導するかを巡って、主張をぶつけあう場面も記録されていた。

 NHKのネット業務の内容や範囲は、放送法に基づき総務相の認可などを必要とする実施基準で定められている。この基準で認められていない衛星放送のネット配信の設備に関わる費用を、前田晃伸前会長や一部の理事が昨年12月、役員などの「稟議(りんぎ)」のみで決定していた。

 公開された4月24日の理事会議事録によると、稲葉会長はこの稟議について、内部調査の結果、「各種制度・規律に抵触している疑いが濃いと判断するに至った」と説明。

 続けて、法務部などに、法的問題についての調査と報告を指示。さらに内部監査室には、稟議の過程における判断の妥当性について「特命監査」の実施と報告を求めた。関係する業務を当面の間停止することも伝えた。今回の問題で中心的な役割を果たしたとされる、経営企画担当の専務理事だった伊藤浩氏はこの日が任期の最終日で、理事会には出席していたが、発言は記載されていない。

 理事が一部入れ替わった5月15日の理事会では、会長指示を受けた各部署からの報告があった。法務部の担当者は「経営委員会や国会承認を得ていない今回の業務執行は、このまま進むと(放送法に定められた)役員の忠実義務に抵触しうると判断した」と述べた。一方で、違法な支出には至っていないとして、内容の是正を提案している。内部監査室は、役員が稟議書を十分に精査せず、ネット業務の実施基準との関係や対外的な説明などのリスクへの認識が不足していたと指摘した。

 稲葉会長は、報告を受けて稟…

この記事は有料記事です。残り697文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません