北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、前日に失敗を認めた軍事偵察衛星の打ち上げ時の写真を公開した。金正恩(キムジョンウン)総書記が主導する肝いりの事業にもかかわらず、なぜ失敗時の写真を公開したのか。そこから何を読み解けるのか。北朝鮮の軍事に詳しい韓国の梨花女子大の朴元坤(パクウォンゴン)教授に聞いた。
――北朝鮮が失敗した写真を公開するのは異例です。
写真とともに、1日に公開された正恩氏の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キムヨジョン)氏の談話を一緒に見ると、様々な解釈ができます。
――与正氏は、発射は国連安全保障理事会の決議違反だとする米国を批判し、「どの国も行っている衛星の打ち上げを我々だけは行ってはならないという論理は、我が国の宇宙利用の権利を甚だしく侵害している」と反発しました。談話のどこに注目すればよいでしょうか。
内容の核心は、与正氏が2年前から主張している「二重基準(ダブルスタンダード)」の論理です。自分たちは平和的に宇宙を利用し、開発する考えで、米国や韓国がやっていることと変わりがない。北朝鮮は数百、数千個の偵察衛星によって、隅々まで監視されているのに、なぜ我々が見てはだめなのか、という主張です。
まともな燃焼試験も経ず発射か
――北朝鮮は衛星を打ち上げたと称していますが、実際はどうでしょうか。
写真を見ると、今回打ち上げ…