米CIA長官、中国極秘訪問か 意思疎通の重要性伝える 英紙報道

アジア安全保障会議

ワシントン=清宮涼
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 米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が5月、中国を極秘に訪問していたことが明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズが2日、米政府当局者の話として伝えた。米中対立が深まるなか、バイデン政権として、中国側と水面下で意思疎通を図る目的があったとみられる。

 報道によると、米政府当局者は、「バーンズ長官が先月訪中し、中国側に情報当局間で意思疎通を続ける重要性を強調した」と述べた。バーンズ氏は中国の情報当局者とのみ面会したといい、バイデン政権では最もハイレベルの訪中となるという。米政府はバーンズ氏の訪中を公式には認めていない。

 台湾問題貿易摩擦などをめぐって対立が深まる米中だが、昨年11月のインドネシアでのバイデン大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席による首脳会談では、意思疎通の重要性を確認した。だが今年2月、米本土上空に飛来した中国の気球を米軍が撃墜した問題などを受け、対話の機運が遠のいていた。

 バーンズ氏の訪中は、その後、米側が中国との対話の再開を探るなかで行われたことになる。5月10~11日には、サリバン大統領補佐官と中国の外交部門トップの王毅(ワンイー)共産党政治局員がウィーンで会談。米中関係について、バイデン氏は5月21日、広島市での記者会見で「近く雪解けをするだろう」との見通しを示した。バーンズ氏の訪中結果を踏まえて発言した可能性がある。

 CIA長官はこれまでも大統領の命を受け、たびたび海外訪問をしてきた。バーンズ氏は2021年11月、バイデン氏の要請でロシアを電撃訪問。ウクライナに侵攻しないよう、懸念を伝えていた。またトランプ前大統領は18年、ポンペオCIA長官(当時)を訪朝させ、北朝鮮の非核化に向けた事前交渉を進めた。(ワシントン=清宮涼

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