北朝鮮の衛星発射で意見一致できず 国連安保理、中国とロシアが反対
国連安全保障理事会は2日、北朝鮮が5月31日に軍事偵察衛星を打ち上げたのを受け、緊急会合を開いた。15カ国の理事国のうち大多数が発射に非難や懸念を示すなか、中国とロシアは引き続き北朝鮮を擁護。今回も安保理として一致した意見は出せなかった。
午後3時過ぎから始まった会合で、国連のディカルロ事務次長は、今回の発射は弾道ミサイル技術を使った発射を禁じた過去の安保理決議違反と断定した。前回、2016年2月に衛星を打ち上げた際は、決議違反として安保理が同国を非難する声明を出したことも指摘した。
日米だけでなく、非常任理事国のアルバニアやマルタ、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)なども安保理決議違反と主張。北朝鮮の言い分は通らないとし、地域の緊張を高める行為をやめるよう促した。
「核兵器保有国になることを許してはならない」
核・ミサイル開発による安全保障上の脅威に関する認識も改めて共有された。
フランスのドリビエール国連大使は「北朝鮮が核兵器保有国になることを許してはならない」と主張。ガボンのビアン国連大使は、このまま黙認し続ければ「核兵器による防衛に関し、中立性を保っていた国々が再考することにつながりかねない」と安保理としての対応を求めた。
日本の石兼公博・国連大使は「衛星の発射やそれが失敗であるかは関係なく、弾道ミサイルの技術を使ったものを打ち上げることが決議違反。それが十分に認識されていた」と評価した。一方で安保理として依然、一致した対応が取れないことに歯がゆさをみせる。
中国とロシアが北朝鮮擁護にまわっているためだ。最近では「北朝鮮に刺激を与える」として、安保理の公開会合を開くことさえ反対している。
中ロ両国は、米国を中心とする国々の対応のまずさが現在の事態を招いたと主張する。
中国の耿爽国連次席大使は、「米国は核不拡散を口実に朝鮮半島の非核化を求める一方で、核の傘を強化する。ダブルスタンダードの典型だ」と批判。ロシアのエフスティグニエワ次席大使も、「緊張のスパイラルの原因は、米国とその同盟国が拡大抑止の概念の中で北朝鮮への圧力を強めることだ」と発言。さらなる北朝鮮への制裁は逆効果を生むとも主張していた。(ニューヨーク=遠田寛生)
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