井山裕太本因坊、全勝で暫定首位に 次戦は首位決戦 囲碁名人リーグ
囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は2日、井山裕太本因坊が富士田明彦七段に302手までで白番2目半勝ちし、リーグ成績を6勝0敗として暫定首位に立った。次戦は29日、相手は挑戦者争いのマッチレースを演じる一力遼棋聖(5勝0敗)。今期リーグ戦の最大のヤマ場を迎える。
ここまで5勝0敗の井山、0勝5敗の富士田。今期リーグで明暗分かれるふたりの対戦だったが、井山は終盤に失速し、一時逆転される大苦戦に陥った。
すでにリーグ陥落が決まっている富士田は、大胆な打ち回しで先に相手に陣地を与え、代わりに正面衝突の戦いになれば無類の威力を発揮する中央の制空権を獲得。井山は富士田に総攻撃を発動させないよう巧みに局面をコントロールし、終盤の大ヨセに入る段階でAIの勝率判定が90%を超えるほどの優勢を築いた。ところがヨセでもたつき、富士田が猛追。中央に思いもよらぬ大地を築き、微細ながらも逆転に成功した。
非勢を悟った井山は安全運転から緊急事態の非常運転に切り替え、自陣が相手陣となり、相手陣が自陣となるフリカワリも辞さぬコウの手段に訴えた。富士田は井山の挑発を真正面から受け止めたが、コウ争いの途中、井山のコウダテに対する受けを誤ったらしく、形勢を損ねて再逆転。半目勝負の様相だったが、最後は井山が2目半の差をつけて逃げ切った。
本局の井山の勝利により、優勝争いはここまで全勝の井山、一力のふたりに完全に絞られた。井山を星一つ差で追う一力の次戦は今月12日、相手は許家元九段(2勝3敗)、その次に29日の井山戦を迎える。井山、一力を2敗で追っていた張栩九段(4勝2敗)、余正麒八段(3勝2敗)はリーグ優勝の望みを断たれ、まだ確定していないリーグ残留に傾注する。
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