豪首相が北朝鮮やロシアを非難 自国の原潜導入には理解求める

アジア安全保障会議

シンガポール=西村宏治
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 オーストラリアのアルバニージー首相が2日夜、シンガポールで開催中の「シャングリラ・ダイアローグアジア安全保障会議)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で基調講演した。北朝鮮の弾道ミサイル発射や核兵器の使用をちらつかせるロシアの脅しが、軍縮のための協調行動や国際ルールの必要性を浮き彫りにしたと語り、各国の結束を求めた。

 昨年5月に首相に就いたアルバニージー氏は、豪州で核兵器反対の立場を取ってきた政治家として知られている。この日の講演でも、核軍縮と核不拡散には学生時代から熱心だったとして「私を政治家人生に引きずり込んだ課題のひとつだ」。さらに「ともに取り組むことができれば、気候変動から核兵器の脅威まで、課題を乗り越えることができる」などと訴えた。

 また、講演地のシンガポールなど東南アジア諸国は、1997年に発効した東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)などを通じて非核に取り組んできたと指摘。「市民たちは破壊的、非人間的、かつ無差別的な兵器の拡散防止に揺るぎない取り組みを示してきた」とたたえた。

 豪州は原子力発電所も持たず、核技術とは距離を置いてきた国のひとつだ。

 だが国防面では米国と同盟関係にあり、米国の「核の傘」の下にいる。21年には、原子力潜水艦を米国や英国から新たに導入する計画も明らかにした。ただし核兵器は搭載せず、通常兵器を扱う原潜だという。

 アルバニージー氏はこの日の講演でも原潜の導入計画に触れ、手続きの透明化などに取り組む姿勢を強調した。能力増強は「戦争準備のためではなく、戦争を止めるためだ」として、周辺国などの理解を求めた。(シンガポール=西村宏治

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