エルドアン氏が再選した理由 祈りと家庭とスカーフと NYTコラム

有料記事

[PR]

ブレット・スティーブンス

 フランスの哲学者ジャンフランソワ・ルベルはかつて、「全体主義的な現象は、いかなる社会にも圧政を積極的に求める人びとが少なくない割合でいる、ということを考慮しなければ理解できない」と述べた。「つまり、自分たち自身が圧政を敷きたいか、あるいはもっと奇妙なことに、それに従いたいか、そのどちらかなのだ」と。

 この見方は、トルコのエルドアン大統領の再選について理解を深めさせてくれる。そして、米国の共和党を含め、多くの点で無能だと思われる独裁的な指導者が、民主的な手段をもって権力を取り戻しつつある別のところでも、警告となるものだ。

 ただ、先日のトルコ大統領選の決選投票で、エルドアン氏が元公務員のクルチダルオール氏に小差とは言え余裕のある勝利を収めたことについての分析の多くでは、そのような(一定の有権者が圧政に従いたいという)解釈はされていなかった。多くの分析は、エルドアン氏は権力の座にあった20年で、ありとあらゆる尺度を自分に有利になるようにねじ曲げ続けてきたと説明していた。

 エルドアン氏は取り締まりを…

この記事は有料記事です。残り2454文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

連載ニューヨーク・タイムズ コラムニストの眼

この連載の一覧を見る