第11回二つの智弁、それぞれのジョックロック 奈良の演奏は「わりと…」

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松永和彦
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 高校野球「夏の甲子園」の一塁側アルプススタンドに、赤い「C」の文字が浮かぶ。九回、時刻は午後6時を回っていた。

 響く曲は「アフリカン・シンフォニー」。観客の手拍子が次第に大きくなる。

 懸命に指揮を執る智弁学園(奈良)吹奏楽部の顧問・木山竜志さん(37)は、球場全体が異様な雰囲気になっていくのを肌で感じていた。

 2011年夏、横浜(神奈川)と対した3回戦。

 奇数回の得点機に演奏するチャンステーマ(チャンテ)が、アフリカン・シンフォニー。ただ、この時は違った。スコアは1―4の劣勢。逆転の願いを音に託し、チャンスを待たずに回のはじめからアフリカンを流しっぱなしにした。

 先頭打者が安打で出塁。後にプロに進む横浜の柳裕也投手(中日)をマウンドから降ろした。2死となった後、打線がつながるなどして同点、そして逆転。勢いは続き、一気に8点を挙げる逆転勝利に、スタンドはお祭り騒ぎとなった。

 長い攻撃で木山さんもへとへとになったが、心地良い疲れ方だった。「吹奏楽の応援は、試合の中の一つのピース。甲子園は素晴らしい場所だと実感しました」と振り返る。

連載 アルプスの夏音

「夏の甲子園」に欠かせないアルプススタンドの音色。吹奏楽部員の思いは、逆転劇を彩る「あの曲」にまつわる秘話は。「甲子園ブラスバンドフェスティバル」(6月11日)の出場校に聞きました。この記事の中では智弁学園の吹奏楽部員が登場するポッドキャストも聞けます。

偶数回のあの曲、和歌山から奈良へ

 智弁学園のチャンテは、球史…

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