名古屋育ちのマッカーサー「懐かしい」 日本ハンマー投げ界に新風
幼少期を過ごした日本で、いきなり頂点に立った。
陸上の日本選手権女子ハンマー投げで3日、マッカーサー・ジョイ(NMFA)が63メートル31を記録し、初めての日本の大会で優勝した。
競技後、安堵(あんど)の表情を見せた23歳は「本当にうれしい。もっと記録を出したかったけど、無事に終わって良かった」と話した。
マッカーサーの父エリックさんは米国出身で、元バスケットボール選手だ。日本リーグでプレーし、日本人女性と結婚。日本国籍を取得した。2006年にはドーハアジア大会の日本代表にも選ばれている。
マッカーサーは身長178センチ。米国で生まれ、すぐに父がプレーしていたチームがある名古屋市に引っ越した。小学生で米国に戻るまで日本で育ち、「子どものころの思い出があるから懐かしい」と笑みを浮かべる。
兄と妹もバスケットボール選手だ。本人はバスケ、テニスなど様々な競技を経験した後、高校でハンマー投げを始めた。
「砲丸投げと円盤投げをしていて、コーチから『この二つでうまくなりたかったらハンマー投げをしてみたら?』と言われた」
これが転機となり、才能が開花。2016年の全米ジュニア選手権で優勝し、同年のU20世界選手権に出場した。
それでも、「子どものときアメリカに引っ越すのが寂しくて、ずっと日本に帰りたい気持ちがあった」。米国と日本の両国籍を持っていたが、昨年2月に世界陸連から日本国籍での出場資格が認められた。
マッカーサーは今年4月、米国の大会で日本新記録となる69メートル89をマーク。「今季はメンタルを鍛えて、トレーニングも良くなった」。室伏由佳が04年に記録した67メートル77を2メートル以上も更新した。
現在は練習拠点を米国に置くが、いずれは日本に引っ越すつもりだ。目指すは世界選手権、オリンピックでの日本代表。
「まずは世界のステージに行かないといけない。70メートルも超えないと」。日本ハンマー投げ界に現れた新星に期待が高まっている。(室田賢)