台湾問題、互いに譲らぬアメリカと中国 国防長官の言及に猛反発

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シンガポール=下司佳代子 畑宗太郎
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 日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の地理的な要、東南アジアで開かれた「アジア安全保障会議シャングリラ・ダイアローグ)」。米国は中国の高圧的な姿勢や閉鎖性を強調し、地域各国に連帯を呼びかけた。中国も激しく応酬し、米中国防相会談は見送られた。ただ、台湾などでの紛争は「壊滅的」な結果をもたらすだけに、対話の模索も続く。

 「大国とは、透明性と責任感の象徴でなければならない。米国は自らの役割を果たすことに深く尽力している」

 3日、居並ぶアジアや欧州の閣僚らを前にオースティン米国防長官が繰り返したのは、対話に積極的で開かれた米国と、それを拒絶する中国という構図を印象づけようとするフレーズだった。

 「責任ある国防指導者は、どんな時でも、あらゆる時機をとらえ、対話するのが適切だ。そしていまがその時だ」

 米側の説明によると、この会議にあわせた国防相会談を5月初旬に中国側に打診したが、月末になって拒否された。李尚福国務委員兼国防相が米国の制裁対象になっており、解除されないことが理由だった。

米国が演出する連帯感

 会談の実現が困難とみると、米国は対話の要請を中国側が従来も繰り返し断ってきたことを強調し、中国の居丈高な姿勢や無責任さを訴えて、国際世論を味方につけようと動いた。

 オースティン氏は演説で「我…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年6月4日12時10分 投稿
    【解説】

    一方で中国の活動の不透明性や、武力を用いてでも現状変更を試みるなど、大国の「オレ様外交」をやっているが、他方でアメリカも対話するべき相手の李尚福国防大臣を制裁したままで対話しろというのも無理があるし、トランプ政権以降の政策のブレも問題。米中

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