北朝鮮、今後の衛星打ち上げ「通告なし」を示唆 IMOの非難に反発
シンガポール=稲田清英
北朝鮮は4日、5月末の軍事偵察衛星の打ち上げについて国際海事機関(IMO)が非難したことに反発し、今後は事前通告をしない可能性を示唆した。朝鮮中央通信が4日、北朝鮮国内の「国際問題評論家」の論評として伝えた。
北朝鮮は事前に日本政府に通告したうえで、5月31日に軍事偵察衛星を打ち上げたが、失敗した。IMOは31日、国際的な航行の安全に対する脅威となっているなどとして、打ち上げを非難する決議を採択した。
北朝鮮の「評論家」の論評は、決議の採択について「IMOの完全な政治化を示す」と批判した。「事前通報がこれ以上必要ない、というIMOの公式な立場表明と見なす」と強調し、今後の打ち上げの際には事前に通告しない可能性を示唆した。
朝鮮中央通信は4日、金正恩(キムジョンウン)総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キムヨジョン)氏の談話も伝えた。国連安全保障理事会が北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げを受けて緊急会合を開いたことについて、「国連安保理が何かにつけて、米国の思う通りに(北朝鮮による)主権的な権利行使を問題視することを大変不快に思う」と批判。今後も「軍事偵察衛星の打ち上げを含む、主権国家の全ての合法的権利を行使していく」と改めて主張した。(シンガポール=稲田清英)