「国体の維持」「日本の醇風美俗」… 夫婦別姓反対派の理屈のなさ

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聞き手・田中聡子
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 何十年も前から導入を求める声が上がっている選択的夫婦別姓が、全く前に進みません。大きなハードルが、政治です。かつて自民党参院議員として推進に取り組んだ佐々木知子さんは、党内での激しい反対に驚いたと言います。話を聞きました。

「苦い思い出」の夫婦別姓

 参院議員だった20年ほど前、夫婦別姓を導入しようという機運が自民党内にありました。1期かぎりの議員生活ではさまざまな学びや気づきがありましたが、この夫婦別姓だけは苦い思い出ですね。

 「法律の専門家として理論的に支えて欲しい」と議員から誘われたのが、夫婦別姓に取り組むきっかけでした。夫婦の姓について特別な問題意識があったわけではないけれど、「名前が変わるのはいやだな」とは思っていましたし、夫婦別姓も選べる方がいいに決まっている。家制度がなくなった以上、名前は個人のものなのですから、夫婦同姓にこだわる必要なんて何一つないはずです。

自民の部会で大騒ぎ

 ところが活動を始めると、そ…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2023年6月6日12時0分 投稿
    【視点】

    「世論の支配者が生き方を変えようとすれば、タブーは威信を失い、タブーが選び取った宇宙観は見直されることになるのである」 これは人類学者メアリ・ダグラスの名著『汚穢と禁忌』からの一説です(p16)。 夫婦別姓の話題が出ると私はいつも本書の

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    小松理虔
    (地域活動家)
    2023年6月6日12時0分 投稿
    【視点】

    自民党の「中の人」だったという佐々木さんのコメント、一つひとつ「そうなのだろうな」と感じられ、改めて20年も変われないことに暗澹とするわけですが、だからこそもっと読みたかった。たしかに短くクリティカルな文言が並んでいて、ズバッと切れ味鋭い読

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