東ティモール大統領、「ウクライナとグローバルサウスで支援に差」

アジア安全保障会議

シンガポール=加藤あず佐
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 シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議シャングリラ・ダイアローグ)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で4日、東ティモールのラモス・ホルタ大統領が演説し、「ウクライナへの支援と、債務に苦しむ国々への支援には差がある」と、グローバルサウスが直面する不平等を訴えた。

 ホルタ大統領は、世界的な食糧・エネルギー危機の下で、グローバルサウスの人々が、ライフラインへのアクセスを失っていると説明。欧米諸国の支援姿勢が、ウクライナとグローバルサウス諸国とでは異なっているとし、「2008年の金融危機リーマン・ショック)では、先進国は巨額の資金で銀行を救済する一方、労働者や中間層に緊縮策を強いた。これと同じだ」と訴えた。

 また、ホルタ大統領は「なぜ多くの国が中国にシフトしているのか、欧米の人々は知りたがっている」と述べ、「中国は経済大国となり、西側諸国に失望した人たちをひきつける存在になっている」と持論を展開。経済協力開発機構(OECD)諸国に対し、GDP(国内総生産)の1%を途上国援助(ODA)に充てるよう求めた。

 シャングリラ・ダイアローグの期間中に期待された米中国防相会談は、開催の見通しがなく、アジア・太平洋の国防関係者からは、対立の激化を懸念する発言が相次いでいる。ホルタ大統領も、北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念を表明し、「アジアには安全保障の面で暗雲が立ちこめている」と指摘。「朝鮮半島の安定のために、米中の首脳レベルでの対話が必要だ」と述べた。

 東ティモールは、東南アジア諸国連合(ASEAN)への加盟を目指している。ホルタ大統領は、「まずは自国の平和を維持し、ミャンマーのように、ASEANの重荷にならないようにしたい」と話した。(シンガポール=加藤あず佐)

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