日本6位のスプリンターは公務員 練習は一人でも「これで大丈夫」

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安藤仙一朗
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 トラック1周を、1分近く無酸素状態で走り抜ける陸上競技の400メートル。

 スピードだけでなく持久力も要求される。この過酷な種目で、日本トップレベルの実力を持つ公務員スプリンターがいる。

 宇都宮市役所の大島愛梨(23)。日本選手権女子400メートルで、1日の予選を突破し、2日の決勝では55秒14で6位に食い込んだ。

 平日は練習着やスパイクを携えて通勤。仕事が終わると地元の陸上競技場に直行し、午後9時ごろまで一人で黙々と練習を積む。恵まれた環境とはいえないが、本人はそこまで不利とは感じていないという。

 中学で陸上競技を始めた。当時は100メートルや走り幅跳びをしていた。

 400メートルに転向したのは、宇都宮中央女子高2年の時だ。持久力に素質を見いだしてくれた当時の指導者から、種目の変更を勧められた。

 「県大会レベルだった」(大島)という実力がめきめきと伸びた。高校3年時は、全国高校総体(インターハイ)に出て、7位になった。

 高校を卒業し、中大に進学した。日本学生対校選手権(日本インカレ)では2度、表彰台に上がった。日本選手権でも、2年と3年の時に決勝に進出した。

 中大に進んだのは、陸上の強豪校だったというより、将来の夢のためだった。

 小さい頃から、祭りなどの地…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2023年6月5日14時26分 投稿
    【視点】

    陸上競技で、瞬発力と持久力の両方が必要とされる800mと400m。 過酷なのに冷遇されている、とエッセーで書いたのは作家の奥田英朗でした。 わたしも同感です。 陸上で何と言っても花形は100m。五輪や世界選手権では世界最速の男(女

    …続きを読む