ポテチ用栽培基準満たすイモ 「プロの技」に高校生がチャレンジ
北海道帯広市の帯広農業高校の生徒たちが、授業中に学校の畑で育てるジャガイモを、実際に市場に出回るポテトチップスなどの原料として出荷するプロジェクトに取り組んでいる。今年度からは、ポテトチップス製造大手の「カルビー」関連の契約栽培農家と全く同じ基準で栽培する「プロの技」の取得も目指している。
同校では、農業科学科の「作物」の授業でジャガイモを育てている。昨年、畑で収穫したイモの引き取りをカルビーの原料調達を担当する子会社「カルビーポテト」(帯広市)に相談。品質基準をクリアしていたため、約5トンを初購入してもらえた。
その縁で、今年度は同社の地域貢献活動の一環として、作物の授業とコラボすることが決定した。同社の専門指導員のアドバイスを受けつつ、契約農家と同じ栽培基準で本格的に取り組むことにした。
コラボ授業初回の4月28日は、農業科学科の2、3年生約70人が、「フィールドマン」と呼ばれる同社指導員の岡村廉さんと、牛媛南さんの座学を受けた。その後、2年生が構内の畑に移動。加工用品種「トヨシロ」を、約1500平方メートルに植え付ける体験した。
岡村さんたちは、実際に契約農家と行う現地での確認作業を紹介。「緑化薯(いも)」と呼ばれる品質基準外品に育つのを防ぐためにある程度の深さに植えることや、株の間隔にばらつきがあるとイモが均一に育たないことを説明。「サイズがばらつくと規格外のイモも多くなり、その分収入が少なくなる。均一にすることが重要」と強調した。
三島咲弥さん(2年)は、「植え付け、土の温度や水分量…、いろいろ変わると、収穫にも影響するのが良く分かった。いろいろ丁寧にチェックしているなと思った」。
将来は実家の畑を継いで大規模化したいという森川玲さん(同)は「いろいろ勉強になった。今は加工用ジャガイモは作っていないけど、契約農家になるのも楽しそうと思った」と話した。
コラボ授業は今後、花を付ける時期や収穫直前、収穫時、工場での加工時に行う予定。収穫して、基準を満たしたイモは同社が購入し、同社の「じゃがりこ」などに加工される予定だ。
作物担当の松本奈緒子教諭は「ジャガイモのプロの方の授業を通し、生徒たちにはより高い意識と技能を学んでもらえたら」と話す。(中沢滋人)