新進ピアニストと声楽家の「飯塚新人音楽コンクール」、入賞者決まる

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 新進気鋭の若手音楽家が福岡県飯塚市に集う「第42回飯塚新人音楽コンクール」(飯塚文化連盟、朝日新聞社、飯塚市、同市教委など主催)は4日の本選で全日程を終えた。ピアノと声楽の両部門を勝ち進んだ計29人が鍛え抜いた技術と情熱を観客に披露。舞台審査の結果、6人の入賞が決まった。

 ピアノ部門で1位となった山地祐莉香さん(23)=東京都=は「作品の良さを引き出し、聴いている人に伝えられる。そんな演奏を目指したい」と笑顔。声楽部門1位の川越未晴さん(30)=神奈川県=は「誰かの心に残る歌を歌えるよう、がんばりたい」と抱負を述べた。

 ピアノ部門を審査したピアニストの寺田悦子さん(73)は「選曲が個性的で面白かった。音楽は難しい曲が弾けることより、伝える力。入賞者はその点にこだわりを持つ人ばかり」と指摘し、山地さんについて「いかに自分の出したい音をピアノから引き出すかができていた」とたたえた。

 声楽部門の審査を担った桐朋学園大特命教授の大島幾雄さん(74)は「全体的にレベルが高く、日本の音楽界を背負う若手が育ってきている」と笑顔。川越さんについて「確かなテクニックと大人らしいオーラを放っていた。オペラのような集団芸術の中で、自分の力をいかに発揮するのかが今後の課題」とした。

 コンクールは新型コロナウイルスの影響で2020年は中止に。その後も予選が録画映像によるDVD審査になるなどの影響があった。予選と本選がともに舞台審査となり、観客を迎えたのは4年ぶりだった。

 今年は予選、本選を通して延べ約百人の市民ボランティアが参加。受け付けをしたり、演奏者をリハーサル室などに案内したりして運営を支えた。1982年の初回から、ほぼ欠かさずボランティアをしてきた地元コーラスグループのメンバー上野淑(よし)子さん(80)は4日、受け付けを務めた。「コンクールは飯塚からの文化発信に貢献してきた。大きく成長したコンクールに携われることを誇りに思う」

 1位の2人には副賞として、海外研修費100万円がそれぞれ贈られる。本選には両部門に計29人が出場した。他の入賞者は次の皆さん。(敬称略)

【ピアノ部門】2位 梅﨑秀(26)=モスクワ▽3位 島津拓実(23)=東京都

【声楽部門】2位 菅谷茉友(22)=千葉県▽3位 森園あや(29)=福岡県

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