「一つ間違うと独裁者」町長の憂い 続く無投票、町も議会も活気薄れ

有料記事統一地方選挙2023

林将生 二階堂友紀
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 地域の道県議選、町村長選、町村議選の三つが無投票になる。そんな「トリプル無投票」の事態になった自治体が、今春の統一地方選で16町村にのぼったことが朝日新聞の調べでわかった。議員のなり手不足にあえぐ自治体で何が起きているのか。

オホーツク海に面した北海道興部町で何が

 北海道の北東部、オホーツク海に面した興部町(おこっぺちょう)は、酪農と漁業が盛んな人口約3500人の町だ。今春の統一地方選で道議選・町長選・町議選の三つが、4年前の前回に続き無投票になった。

 全国でも2回連続で「トリプル無投票」になったのは、同町と、北西に80キロ余り離れた中頓別(なかとんべつ)町だけだ。住民からは「無投票が当たり前」との声が漏れる。

 「自分を代表している議員が誰なのかわからない。議会が町の実情を把握しているかもわからない」。団体職員の30代男性は無投票が続く弊害についてそう語る。「本来は僕のような年代の者が立候補すべきなのですが……」

 町議会が2020年に行った町民アンケートで町議会の活動に満足しているか尋ねたところ、「わからない」が42%を占めた。町民の意見が議会に反映されているかという問いでも、「わからない」が44%にのぼった。住民が選んだという実感のない議会は、存在感がかすんでいく。

全国唯一の2回連続定数割れ

 前回の統一選では、定数10に対し9人しか立たず、定数割れとなった。町議会はなり手不足対策を話し合う特別委員会を設置。定数や報酬のあり方、女性の参画など10項目について検討した。

 しかし、実現したのは定数削減のみ。定数9で臨んだ今回も、立候補は8人にとどまり、再び定数割れとなってしまった。今回、全国の21市町村議選で定数割れとなったが、2回連続は興部町だけだった。

 特別委の委員長を務めた阿部…

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