日本人の食を支える1人1羽の鶏 「小さな養鶏」から見えるもの

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記者コラム 「多事奏論」 編集委員・長沢美津子

 卵好きの日本では1人が年にざっと330個の卵を食べ、1億羽超の鶏がその食欲にこたえている。今朝の目玉焼き、きのう作ったオムレツを、1日1個の卵でなく、自分1人に1羽の鶏がいると想像する。違う景色が見えてきた。

 穀物価格の止まらぬ値上がりに、高病原性鳥インフルエンザの相次ぐ発生で各地の養鶏場が出荷停止。卵の値上がりと不足が起きた。地域やスーパーによっては購入制限が続いているが、養鶏場は再開に向けて段階を踏み始めている。日々のニュースに取り上げられる回数は減った。

 こんな時に思い出すことばがある。

 「あなた方は値段が高い時にだけ、『困った』って聞きたくて来るね」

 天候不順で野菜が高値になっ…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2023年6月6日6時15分 投稿
    【視点】

    今年1月5日の朝日新聞社会面(紙面)のトップは、「正月明け医療逼迫」という大見出しが付けられた新型コロナに関する記事。小見出しには死者がもうすぐ累計6万人に達する、とあります。 翻って、隣のページの隅に小さく載せられていたのが、鳥イン

    …続きを読む