かんぽ不正巡る解雇、札幌地裁「相当」 同種訴訟で判断分かれる
かんぽ生命で不正販売が多数発覚した問題で、不正販売を理由に解雇されたのは不当だとして、北海道内の元郵便局員の50代男性が日本郵便に対し、社員としての地位確認と解雇後の賃金の支払いを求めた訴訟の判決が5日、札幌地裁であった。右田晃一裁判長は「解雇は社会通念上相当なもの」として請求を棄却した。
札幌地裁ではこれまでに同種訴訟2件で、別の裁判長が元局員の訴えを認めており、判断が分かれた。原告側は控訴する方針。
判決などによると、元局員は2008~18年、高齢の顧客2人に対し、意向を十分に把握せずに、既存の保険契約を解約して同種の新規契約を結ぶ「乗り換え契約」などを計50件受け付けたとして、20年10月に懲戒解雇された。
判決は、乗り換え契約で生じた解約損は300万~600万円程度になると指摘。具体的な損失額を示さずに契約を繰り返した元局員の行為は悪質だと批判し、解雇は合理的だと結論づけた。
先行判決と異なる判断について、原告代理人の浅野高宏弁護士は「理解に苦しむ。トカゲの尻尾切りをした日本郵便の体質が問題なのに、本質を理解していない」と批判した。
同種訴訟の司法判断は全国で5例目。日本郵政による解雇を有効としたのは、今年1月の金沢地裁判決に続き2例目。原告が勝訴した札幌訴訟2件を含む3件では解雇は無効とされた。いずれも控訴審が続いている。
日本郵便は「主張が認められた。かんぽ不適正募集問題に関してお客さまに多大なご迷惑をおかけしたことを改めておわびする」との談話を出した。(新谷千布美)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら