韓国で「在外同胞庁」発足 業務一元化、在日韓国人被爆者を近く招待
在日韓国人ら国外で暮らす韓国人らを支援する韓国政府の「在外同胞庁」が5日、発足した。外交省の部署や政府傘下の財団に分散していた業務を一元的に扱い、支援を強化するとしている。近くその一環として、日本で暮らす韓国人被爆者を韓国に招く予定だ。
韓国政府によると、在外同胞とは国外で暮らす韓国人や、韓国籍がない直系の子孫を指す。世界に約732万人おり、そのうち日本には約81万人が暮らす。
在外同胞庁の新設は尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の選挙公約だった。尹氏は、本庁のある仁川で開かれた発足式で「世界中のどこにいても韓国同胞の痛みを癒やすのが国家の責務だ」と強調。在日韓国人被爆者を招いて「少しでも慰めたい」との考えを示した。尹氏は5月、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待国として参加するために広島を訪れた際、歴代の大統領で初めて在日韓国人被爆者と面会していた。
また、尹氏は在外2世、3世にも「韓国人の自負心を持ってアイデンティティーを継承」してもらうため、韓国語の教育や韓国を訪問するプログラムを提供するとしている。
ソウルには「在外同胞サービス支援センター」が設置され、査証や兵役、税務、年金などについての行政サービスをワンストップで提供するという。韓国社会では在外同胞への関心は薄いとされてきた。政府関係者は「庁の新設は、同胞を大切にするというメッセージだ」と話す。(ソウル=太田成美)