ヒグマの出没情報、5年で最多ペース 冬眠中の「穴狩り」も一部解禁
北海道内各地で、人間の生活圏に出没するヒグマの増加が懸念されている。先月には、幌加内町の朱鞠内湖畔で釣り人が襲われて死亡。札幌市や室蘭市など都市部でも住宅の近くで目撃情報が相次ぎ、通報件数はここ5年間で最多のペースとなっている。道も今年から、冬眠中の捕殺を条件付きで認めるなど対策を強めている。
道警のまとめによると、今年は道内全体で567件(5月24日時点)の出没通報が寄せられている(フンや足跡を含む)。同時期で比較すると、2019年は257件、20年は272件、21年は323件、22年は422件だった。アライグマを見間違えての通報などもあり、警戒心の高まりによる増加も否定できないが、令和に入ってからは、毎年、増え続けている。
その要因となっているのが、ヒグマの増加だ。
道によると、道内のヒグマの生息数は90年度、約5200頭だったが、20年度は約1万1700頭(いずれも推計値)。捕獲が比較的容易な残雪期に実施していた「春グマ駆除」が90年3月に廃止されて以降、2倍以上に増加したとみられている。
出没情報の増加を受け、道は、市街地への出没を想定した机上訓練など対策を進めている。高齢化がすすむ猟師の技術伝承を目的とした捕殺をこの春から拡充。残雪期に銃を使って捕獲することで、冬眠明けのクマに人への警戒心を持たせる取り組みを強化した。これまで自粛、禁止してきた親子連れの捕獲や冬眠中の個体を捕殺する「穴狩り」も、市街地に近い地域に限り認めた。
出没情報が増えていることについて、酪農学園大の佐藤喜和教授は、「市街地周辺に暮らす若いオスや親子が市街地に迷い込んだり境界線あたりの人目に付きやすい場所をうろうろしている」と話す。その上で、「春グマ駆除がなくなって、人に会っても駆除されないと学習した個体は、人を見たら逃げるという習性を失っていく。人との出会いを繰り返すうちに逃げなくなったクマは、人の生活圏付近でも同じ行動をとる」と指摘する。(新谷千布美、長谷川潤)
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