上智大担当者、早まる就活懸念 インターン落ちても「落胆しないで」
2024年春卒の採用活動が6月、始まりました。また、今年度の大学3年生から、インターンシップ(就業体験、インターン)のルールが変わりました。今年の採用試験の動向は? ルール変更の影響は? 上智大学キャリアセンターの秋場葉子センター長に話を聞きました。
売り手市場、企業は人口減を意識か
――4年生の採用活動が6月1日、解禁されました。今年は内定を取得した学生が多いという調査結果もあります。
「売り手市場」とみています。今年の4年生から寄せられる相談は「複数社から内定をもらったが迷っている」「辞退はどう伝えるのが良いか」といた内容が多くなっています。18歳人口が減っていくことを見越し、企業側が新人を確保しようとしているのでしょう。
5月中旬時点の内定者が7割以上という数字も出ていますが、この時点での就職情報会社のデータは、一つでも内定を得ている学生の数字です。最終的な就職先が決まった人の割合ではありません。本学でも、最終的な就職先から内定をもらったのは、昨年は6月がピークでした。
――企業側の傾向はありますか。
初任給を上げるなど、待遇改善をアピールする企業が目立っています。転勤をやめたり、あるエリア内にとどめたりする企業も出ています。企業からは「学生さんは『転勤あり』だと嫌がりますよね」と聞かれますし、「在宅勤務できます」とPRする企業もあります。
実際、勤務地と職種が明確であることを望む学生は増えています。「楽に働きたい」という考えではなく、やりがいのある仕事をしながらプライベートも充実させたいという意識だと感じます。
――国は、インターンの「基本的考え方」を改め、「インターンの参加期間が5日以上」「大学3年以降の夏休みなど長期休暇中に実施」といった条件を満たしたものを「インターン」と定義しました。また、これまではインターンに参加した学生の情報を、企業が採用活動で使うことを禁じていましたが、現大学3年生のインターンからは使えるようにしました。
5日未満でインターンの名称を使ったままの企業もまだありますし、当分、用語の混乱は続くでしょう。大学として、今の時点で学生にルールや分類の変更をどう伝えるか、難しいところです。
5日間以上のインターンでは、多くの学生が選考からもれると思います。企業の側も、対応できる学生数が限られているからです。「落胆せず本選考に向けて準備を」「インターンをしないと本選考に乗れないということは、ほぼありません」と伝えていこうと思っています。
採用にインターンで得た学生情報を使えるというルール変更ですが、これまでも3年生の夏のインターンが採用につながっている現実はありました。今回の変更は、本来のインターンの意義を再確認したという意義はありますが、現状を追認したというイメージはぬぐえません。
――他大学では、3年生向けのセミナーを早めたところもあります。
本学は昨年、3年生の4月に開いていた就活関連のガイダンスを2年生の3月に早めました。コロナ禍で他の学生や、先生と話す機会が少なく、他人と協働して物事を進める力が弱いという点に対応し、春休みを利用して大学生活の後半をどう過ごすか考えてほしいという狙いがありました。
国のルール変更、現状を追認のイメージ
また、昨春は、就活に関わるガイダンスへの参加が少なめだと感じたので、この春は数を増やして充実させました。
5月には企業を招いたインタ…
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