1979年に鹿児島県で起きた大崎事件で、裁判のやり直しをめぐる11回目の司法判断。再審開始を認める4度目の判断は聞けず、原口アヤ子さん(95)の「殺人犯(のレッテル)をとりたい」との思いは届かなかった。
脳梗塞(こうそく)を2度経験した原口さんは現在、病院で暮らす。この日午前11時すぎ、支援者の前に車いすに寝た状態で現れた。「不当決定」「再審請求は却下! あきらめずがんばろうね」と書かれたパネルの文字をにこりともせずにじっと見つめ、何度もうなずいた。目にはうっすら涙が浮かんでいたようだったという。
事件は1979年に起きた。原口さんは52歳だった。
事件は、遺体の解剖前から殺人を前提に捜査が始まった。物証はほぼなく、共犯とされる元夫ら3人の供述が有力な証拠とされたが、いずれも知的障害があった。配慮のない取り調べで、虚偽の自白を引き出された疑いがあることはこれまでの再審請求審で指摘されている。しかも、3人のうち2人は服役後に自殺した。しかし、この日の高裁決定では共犯とされた人たちの自白などによって、首を絞めたことによる窒息死という認定は維持される、とされた。
事件当時52歳、無実訴える闘いは半世紀近くに
原口さんは取り調べ段階から…
- 【視点】
決定が出たときに、福岡高裁宮崎支部の前にいました。弁護団の一人が不当決定という旗を出したとき、急に雨がポツポツと降ってきました。15日で96歳になる原口アヤ子さんの涙が雨になったのだと感じました。 今回の福岡高裁宮崎支部の棄却決定は矢
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