「ロシアの未来に希望ない」 強まる反政権派への弾圧、市民に無力感

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 ロシアの反政権派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求める支援行動が4日、同氏の誕生日にあわせて、ロシア各地で行われた。プーチン政権は昨年2月のウクライナ侵攻後、反政権派への弾圧を強めており、この日も大規模なデモや集会は阻止された。市民には無力感も漂っている。

 この日の行動はナワリヌイ氏の支持組織が呼びかけ、日本や欧米を含む約30カ国でデモや集会が行われた。ロシアでも極東から西部まで、多くの人が「ナワリヌイ氏の解放を」「アレクセイ、誕生日おめでとう」といったプラカードを持って公園などに立った。

 政権の汚職を追及し、2021年、毒殺未遂事件後に療養先のドイツから帰国した直後に拘束されたナワリヌイ氏もこの日、SNSに投稿。「ロシアで真実を話し、正義を主張することが当たり前で、危険でない日が必ず来る」と訴えた。

 これに対し、当局は各地で厳戒態勢を敷いた。モスクワ中心部の公園では、大勢の機動隊員らが配置され、近くにある地下道からの階段は通行が制限された。ナワリヌイ氏の大規模な支持集会が開かれたこともある場所だ。

 警官は周辺を歩いたり、ベンチに座ったりする市民に目を光らせ、身分証明書の提示やリュックサックの検査を要求。ナワリヌイ氏支持のビラなどが見つかるとすぐに拘束していった。

拘束おそれ…活動敬遠する動きも

 こうした物々しい雰囲気の中でも、多くの市民が公園周辺にとどまり、当局の取り締まりの様子を見つめていた。

 その一人、40代のナターシャさんは「私は反政権派ではなく、政権が何をするのか見に来ただけです」と話した。警官の動きを気にしながら、「ウクライナの特別軍事作戦(侵攻)は支持しません」と断言したが、「見ての通り、もはや私たちは反対の声を上げることもできない。ロシアの未来に希望はありません」と、悲しそうな表情を見せた。

 人権団体OVDインフォによると、4日の行動に関連して拘束された人は、モスクワを中心にジャーナリストや未成年を含めて100人以上になった。侵攻開始以来の拘束者数は約1万9千人にのぼるが、昨年3月時点で約1万5千人に達しており、弾圧を恐れて活動への参加を敬遠する傾向も強まっている。

■ウクライナへの送金も「国家…

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