存在しないことにされる人たち 「みんな集まろう」東ちづるの挑戦

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聞き手・高重治香
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 俳優の東ちづるさんは約10年前、それぞれ多様な特性のある私たちが「まぜこぜ」になって暮らす心地よさをエンターテインメントを通じて社会に発信する一般社団法人「Get in touch」を立ち上げました。東さんが何を目指し、活動によって何が変わったのか、聞きました。

 私たちはすでにさまざまな特性のある人の集合体の中で暮らしています。そんな同じ社会に生きているのに、一緒の学校や職場にいなかったり、テレビに映らなかったりすることで、「存在しない」ことにされている人たちがいます。

 2012年に「まぜこぜの社会」をめざそうを合言葉にした団体「一般社団法人Get in touch」を立ち上げました。障害、国籍、ジェンダーやセクシュアリティーなど、私たちにはさまざまな違いがある。その違いを理由に排除するのでなく、一緒にいる心地良さを、アートや音楽、舞台、映像などのエンターテインメントで伝えています。「まぜこぜ一座」は車椅子ダンサー、ドラァグクイーン、こびとプロレスラーといった多様な特性のある演者による舞台を上演してきました。エンタメ業界のキャスティングに携わる方々も招待するので、新たに仕事の依頼が来るようになった出演者もいます。まずは存在を知ってほしいし、そのことが「居場所」にもなると思っています。

 私の職場である芸能界には大きな影響力があるので、アップデートが必要だと考えています。性的マイノリティーや難病がテーマのドラマや映画が増えましたが、さらに、近所や学校にいる一人として登場するようになると、より現実に近づきます。学園ドラマに車椅子ユーザーや手話が言語の人、ホームドラマに同性愛者のご近所さんが普通にいたり、と。欧米や韓国の映画では特別なことではなく、説明もなく存在しています。

東さんは活動による変化を感じる一方で、「自分の周りには、障害者やLGBTQの人はいません」と言われることもあるそうです。「まぜこぜ」の難しさや失敗の経験も語ります。

 プロのマイノリティーパフォ…

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